2023.04.26

飲食店特集 共同編集者インタビュー

「かっこよくなりすぎず、ダサくもならず」
長く続く“飲食店”のあり方とは?

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インタビュー・文 / 土門蘭、 撮影 / 井上みなみ他

「まぜるときっと、うまくいく!」
そんなコンセプトのもと2022年12月にオープンした、マガザンのミックスジュース専門店“CORNER MIX”。二条公園のほど近くという立地を活かしながら、地域・食・カルチャーの循環を目指すスタンドだ。

このCORNER MIXのフードメニューをプロデュースしたのが、同じく二条城近くに店を構える、“喫茶マドラグ”の店主・山﨑三四郎裕宗さん。「コロナの玉子サンドイッチ」を名物メニューとしながら、これまで関西圏に5店舗の喫茶店を展開している、株式会社La Madragueの代表でもある。

今回の「飲食店特集」の共同編集者でもある山﨑さんは、マガザン代表の岩崎くんのちょうど10歳年上。岩崎くんにとっては、これまでにもいろいろな仕事で頼ってきた「先輩」的な存在だという。

そんな山﨑さん率いるマドラグがニュースになったのは、偶然にもCORNER MIXがオープンした頃のことだった。カフェやレストランを展開するサンマルクホールディングスに買収され、子会社化することが決定したというニュースは、京都中を驚かせた。

「大きな節目を迎えた、今の“喫茶マドラグ”をアーカイブしたい」
飲食特集は、岩崎くんのそういった思いから始まった。今、山﨑さんはどんなことを考えて、どんな未来を見据えているのだろう。

マドラグと山﨑さんが次に踏もうとしているステップとは?
「飲食店」にチャレンジしたマガザンが目指すものとは?
お店を続けていくのに必要なものとは?

「飲食」と「お店」にまつわるいろんな話を、CORNER MIXで語ってもらった。

山﨑三四郎裕宗(やまざきさんしろうひろたか)

1975年京都生まれ。「フランソア喫茶室」「さらさ」で修行後、2011年、中京区に「喫茶マドラグ」を開店。その後、三条京阪に姉妹店「喫茶ガボール」をオープンし「喫茶マドラグ 藤井大丸店」「従業員喫茶マドラグ大丸神戸店」「喫茶マドラグ大丸須磨店」を展開。2022年、サンマルクホールディングスの子会社に。プライベートでは2児の父。

マガザンがやるなら「ミックスジュース」

ーお二人が出会ったのはいつ頃なんですか?

岩崎: 

僕は以前ロフトワークという会社にいたのですが、そこのプラットフォーム「MTRL KYOTO」で運営していたスクールで、喫茶マドラグさんにケータリングを頼んだのがきっかけです。一緒にお仕事をしたのはそれが初めてだったのですが、圧倒的なクォリティのケータリングに衝撃を受けましたね。あれは2014年くらいだったでしょうか。

山﨑: 

そうですね。マドラグができたのが2011年なので、3年目くらいの時ですね。

岩崎: 

それを機に、「この人はすごい。これからも一緒に何かしたい」とずっと思っていたんです。その後マガザンを作ってからも、伊勢丹のポップアップに出店してもらったり、いろんなイベントに出てもらったりして。仕事なのか仕事じゃないのかわからないものも、いっぱいありましたね。

山﨑: 

うん、もういろいろありすぎて覚えてないほど、ご一緒させてもらってます。でもガッツリ一緒にお仕事するのは、CORNER MIXが初めてかな。

ーCORNER MIXを一緒に立ち上げることになったのはなぜだったんでしょうか?

岩崎: 

以前から僕はこの店の前を毎日通っていたのですが、ある日ここの物件が空いていたんですよ。それを見てふと「ここで飲食を提供する場所をつくるのはどうかな」って思ったんです。宿をやっていると、お客さんによく「近所にお茶できる場所やワーケーションができる場所はないですか」って聞かれるんですけど、実はマガザンの周りにはそういう場所がほとんどなくて。それなら自分たちで作ってしまおうかと思っていたときだったので、すぐに大家さんに連絡して仮おさえしました。その足で、三四郎さんに電話したんです。

ーパッと思いついたのが三四郎さんだったんですね。

岩崎: 

そうです。もし自分が飲食を提供するなら、三四郎さんに相談するしかないなって思ってました。これまでの経験で頼りになるってわかっていたのはもちろんなんですけど、僕がファミリー向けの店を作りたいと思っていたのも大きいです。お店自体は自分たちの表現でもあるのだけど、エッジでかっこいい場所にしたいというより、愛のあるインクルーシブな場所にしたいと思っていた。三四郎さんはこれまでにもそういう場所を作ってこられているし、娘さんはうちの子の一個上で親としても先輩。だから相談する相手として、三四郎さんしか思いつかなかったです。

ー三四郎さんはその話を聞いた時、最初どう思われたんですか?

山﨑: 

最初、岩崎くんが確か「コーヒースタンドをやろうと思うんですが、どうでしょうか」ってメッセージをくれたんですよ。僕は普段から、岩崎くんに対してあまり忖度なくものを言うようにしているんですけど、「ここでコーヒースタンドをやっても立ち行かないと思うよ」って話しました。

ーへえー! それはなぜ?

山﨑: 

まず、京都にはすでにコーヒーショップがたくさんある。しかもどこも自家焙煎をしたり有名なバリスタがいたりとクォリティが高いんですよね。そんな中で、マガザンの店としてコーヒーショップをやるには、バックボーンや必要性が感じられなかったんです。

それで「もし僕だったらこんなふうにすると思う」という素案を岩崎くんに話しました。その中にあったのがミックスジュース屋さんのアイデア。ミックスジュースって結局、おいしくなれば何を混ぜてもOKじゃないですか。それなら、マガザンがこれまでやってきている「いろんなものをごちゃ混ぜにして発信する」というコンセプトと合致する。作るのも提供するのも比較的簡単だから、イベントの出店もしやすいですしね。

それに、隣に公園があるという立地も活かせると思ったんです。例えば今後、マガザンのコンテンツとして、全国の公園の隣にCORNER MIXを増やしていくこともできるかもしれない。そのエリアの食材を使ってミックスジュースを作ったり、岩崎くんが提唱している「パーケーション(公園でのワーケーション)」を広めたり。そんなふうに、ミックスジュース屋ならコーヒショップでは描けない可能性がどんどん広げられるんじゃないかと思ったんです。

岩崎: 

実は、メニューのアイデアとしてミックスジュースはすでに考えていたんです。だけど三四郎さんと、アイデアではなくコンセプトの軸にするのはどうかという話になって、すごく腑に落ちて。「それでいきましょう!」と即決でしたね。

ーマガザンのことをよく理解しているからこそのアドバイスですね。

山﨑: 

なぜ僕がミックスジュース屋さんをしないかというと、僕にはその才能がないからなんですよ。でもマガザンをやってきた岩崎くんなら、ミックスジュースを人のため、エリアのため、自分たちのために提供することができる。彼ならおもしろくできそうだと思いました。それで、僕でよければ立ち上げのお手伝いをしますよと名乗り出たんです。CORNER MIXでは、主にメニュー考案や注文のオペレーションなどをプロデュースさせてもらっています。

「買収」は小商いの新しい選択肢

ー今回のマガザンは「飲食店特集」ということですが、そもそもどうして今この特集をしようと思ったんですか?

岩崎: 

CORNER MIXが無事オープンしたので、その振り返りを一緒にして今後の展望を考えたいという気持ちももちろんあるんですが、マドラグがサンマルクに買収されたニュースが大きかったですね。マドラグにとってもすごく大きな節目だと思うので、このタイミングで「マドラグ」はアーカイブされるべきなんじゃないかと強く思ったんです。

ーそのニュースは驚きでしたよね。サンマルクに買収されたことで、マドラグはどう変わるんだろうと気になっていました。

山﨑: 

これまでにもいろんな人に「買収されたら、マドラグがマドラグじゃなくなるんじゃないか」と言われましたが、マドラグは何も変わらないですよ。

そもそも事の発端は、うちは現場の人間ばかりで事務をする人がいないってことだったんです。みんな現場仕事は得意なんだけど、お金の計算とか数字の管理が放ったらかしで……。このままじゃいかんということで「事務員さんを雇おう」という話をしていました。それと同時にもう一人の役員が「M&Aも一回当たりつけてみたらどうですか」と。会社を買ってもらえたらいいお金になるし、何より事務作業をしてくれる。それならやってみようかと、事務員募集と同時に、M&Aのマッチングをやっている機構に連絡をしたんです。

ーということは、最初は事務作業をしてくれる人が欲しかった?

山﨑: 

そう、それだけなんです(笑)。そうこうしていたら、事務員の求人には一向に応募が来ないのに、M&Aの話はあれよあれよと進んでいって。数社から打診があったのですが、そのうちの一社、サンマルクさんとの間で異常に速いスピードで話がまとまっていったんです。

岩崎: 

すごいなぁ。

山﨑: 

がっかりされるかもしれないのですが、僕はこれといった目標がある人間ではないんです。マドラグを始めた時も、亡くなった奥さん・奈津美(以下・なっちゃん)の出店計画に乗っかっただけですし、二人でのんびりやっていけたらいいやとだけ思っていたんです。だけどありがたいことに、老舗洋食店「コロナ」の玉子サンドイッチをマドラグが継承する機会があって。それを機にお店が忙しくなってきて、やっとこれで生活ができるなぁと思っていた矢先に、なっちゃんが病気で亡くなってしまって……。

なっちゃんがやってきたこと、彼女の美学やセンスを残していきたい、三四郎じゃなくて奈津美がここを作ったんだってことをわかってもらいたい。そんな想いを軸に、店舗展開やイベント出店を続けてきたんです。

ーそうだったんですね。

山﨑: 

ただ、店舗がうまいこと増えていったのはいいのですが、メンバーが全員前線で戦うタイプばかりの人間で……「このままだと事務仕事がやべえ」と言っていたときに、手を挙げてくれたのがサンマルクさんでした。トップ面談をしたときには、サンマルクの社長さんに「マドラグにはそのままでいてほしい。マドラグの精神性を維持した上で、うちと一緒にやってほしい」と言われたんです。それを聞いて「どうなるかわからへんけど、やるだけやってみようか」という話になりました。

買収が決まった時、周りから「M&Aを視野に入れたブランディング」とか「敏腕経営者!」みたいなことを言われたんですけど、実際のところは何も考えてないんです。だから世間のイメージと自己イメージにすごい温度差があるんですよね。こだわりとか一切ないですもん。僕はほんと、オール巻き込まれ型なので。

岩崎: 

「オール巻き込まれ型」(笑)!

 

山﨑: 

目標なんてまったくなくて、巻き込まれながら生きているだけです。もちろん来てくださるお客様には万全の愛を、関わってくれる人には惜しみなく知見を捧げたいと思っているのですが……。今回、CORNER MIXにもいい意味で巻き込まれました。

岩崎: 

その買収の話を聞いたとき、「めちゃくちゃいいな」と思ったんです。東京から見ると京都は「地方」と言われますが、地方で喫茶店を続けるって聞くと、「自分の好きなことを小商いで続ける」というイメージがまだまだ強いと思うんですね。逆に全国チェーン展開すると「資本主義に魂を売った」と思われることも多いのではないのかと。

とは言え、「小さくても好きなことを商いとして続けていきたい」と思っていたとしても、人や環境は変わっていきます。続ける中で、ある種の満足や飽きが来ることだってある。そんな小商いの新しい選択肢を、三四郎さんに見せてもらったような気がしました

山﨑: 

ああ、本当にその通りですね。今岩崎くんに、自分の中でモヤモヤしていたことを言語化してもらった気がします。やっぱりM&Aを告知したとき、「資本主義に魂を売った」的なことは言われたんですよ。だけど、中には「次のステップに行ったな」とか「いい動き方ができていて羨ましい」とか言ってくれる人もいて。結局M&Aではどこの会社に買われるかで明暗が決まるので、こんなふうに自分の店の精神性を失わず続けていける形にできたのは本当によかったと思います。それが飲食店のひとつの雛形になったらおもしろいな、と。

岩崎: 

本当にそうですね。「続けるか、やめるか」だけじゃない選択肢を教えてもらいました。特に京都では、「続ける」ことが良くて「やめる」ことがネガティブに捉えられがちだから。

山﨑: 

やめたら負けっていう風潮はありますよね。でも、経営者にとっては必ずしもそうではない。それが今回体現できたかなと思います。

50代になったら「人のため」の定食屋をやりたい

山﨑: 

もう一ついいなと思っていたのは、三四郎さんが「今後また新しいお店をしたいと思っている」っておっしゃっていたことなんです。そのことについても、改めて詳しく聞きたいのですが。

山﨑: 

なぜ会社を売ったかというと、ゆくゆくは社長を降りて外部顧問になろうと思っているからなんです。それで50代で、もう一度自分の会社を作って定食屋さんをやろうと考えているんですよ

ー定食屋さんですか!

山﨑: 

はい。僕が所属しているバンドのメンバーの一人が市場で働いているんですけど、廃棄野菜がものすごく出るんですね。その野菜を買い取って、料理上手なのに働き口のない、僕らの親世代のおじいちゃんおばあちゃんを雇って、おかずを作ってもらおうと思っているんです。

例えば定食を1000円で販売するとしましょう。うちはそこに50円を乗せて、1050円で販売します。朝から15時までは1050円で定食を売って、15時から夕方までは無料でお弁当を配布する。そのお弁当は、独居老人やシングル家庭の方、経済的に厳しい方たちのためのお弁当です。そのお代に、いただいた50円を充てるんです。

そうすれば、「捨てられる野菜」「働き口のないおじいちゃんおばあちゃん」「ご飯が満足に食べられない方」を繋げて、循環させることができる。そんな定食屋さんをやりたいなって思っているんですよね。

ーとても素敵な構想ですね。これまでは「オール巻き込まれ型」とおっしゃっていましたが、今回は三四郎さん主体のアイデアなんですか。

山﨑: 

そうなんです。人間50歳にもなってくると、人のために何かしたいって思うものなんですね。なっちゃんのお葬式の時、ものすごくたくさんの方が来てくださったんですけど、それを見て「人の価値って目には見えないけれど、もしかしたらこういう時にひとつの形になるのかな」って思ったんです。これはなっちゃんが生きた証やなって。そこからずっと、いつか人に貢献するような働き方をしたいと思ってきました。あと何年生きられるかわからないけれど、今は新しい家族ができて子供も生まれたことだし、これからは自分のことだけじゃなく次の世代に何か残すためにも、その定食屋さんをやるのが目標なんです。

岩崎: 

めちゃくちゃ素敵ですよね。その話を聞いて、僕も背中を押したくなりました。

山﨑: 

その定食屋さんもまた、飲食店のひとつの雛形になればいいなと思っています。ちょっとした善意でゴミが減って、困った人が減って、うまく回るようになる。そのバランスだけ僕が調整する。おばあちゃんたちのトラブルシューティングをしたり、お弁当を持って帰る必要のない人たちに「こら、お前はちゃうやろ!」って叱ったり(笑)。

岩崎: 

やっぱり現場なんですね(笑)。

山﨑: 

そう(笑)。それを見て、「俺もやってみようかな」って思う人が出てきたらいいなと思います。思えば、これまでやってきたことも全部そうなんですよ。僕たちが喫茶セブンを引き継いで、よりブラッシュアップした形で喫茶マドラグを始めたのも、全国的にそんなムーブメントができたらいいなって思っていたからでした。

今後はそこに「人のために」をプラスしたい。岩崎くんは、先だってそれをやっていると思います。「CORNER MIXでレスキュー野菜を使ってスープやジュースにしたいんだ」と言われた時、とても共感しました。循環は、僕らにとってすごく大事なキーワードだった。そのシンパシーのおかげで、厳しいメニュー開発も乗り越えられましたね。

岩崎: 

うちの若いスタッフがあれこれ遠慮なく意見を言ってましたよね……本当にすみませんでした(笑)。

山﨑: 

「ちょっとパンチ足りなくないですか?」とかね。くそー!と思いながら頑張って作りました(笑)。

みんなが思う「らしさ」を提供する

ーマガザンとしては初めての飲食業へのチャレンジですが、数ヶ月営業してみてどうでしたか?

岩崎: 

実は僕、「飲食事業やるぞ!」って思ったことはないんですよ。よく考えたら飲食事業に進出したことになっているんだけど、そんな意識はなくて、マガザンのまま「CORNER MIX」っていうコンテンツをやっている感じでした。それだけ文脈が合っていたということなんでしょうね。

ただ、当然最初は不安でした。真冬にオープンしたので、公園に人がいない時期はどうなるかなぁと思っていたけれど、なんとか乗り切りました。そこで支えてくれたのは、お客さんの「おいしい」って言葉でしたね。三四郎さんの考えたレシピがおいしいのは間違いない。でもそれを再現してちゃんと提供し続けられるか……作ったものを目の前でお客さんが飲んで「おいしい」って言ってくれるありがたさは、初めて経験したものでしたね。

山﨑: 

飲食の良さは、レスポンスの速さなんですよ。クリエイティブ系の仕事だと、着手してから完成までに、月単位で時間がかかるでしょう。でも飲食は、料理も売り上げも小出しですぐ返ってくる。細かくレスポンスがあるのは、僕のようなせっかちには肌が合うのかなと思います。

岩崎: 

確かにそうですね。あと飲食は、ルーティンワークが多いですよね。同じものを仕入れて、同じ場所で同じ料理を作り続ける。毎日の景色があまり変わらない。そこに安らぎや揺るぎのなさを感じましたね。

ーちなみにお二人は、今の「飲食」業界についてどんなふうに捉えているんですか?

山﨑: 

京都に関して言うと、複雑な料理を扱うお店が増えていっているなと感じます。スパイスや食材を複雑に組み合わせた、科学的な料理が良しとされている。この風潮はもう少し続くんじゃないでしょうか。だけど、今後どんどん複雑になった先で、またシンプルに立ち戻る気がしますね。早くシンプルのターンが来ないかなって思っています。うちはナポリタンにカレーぶっかけてるだけなんで(笑)。

岩崎: 

その時々で流行があるんですね。

山﨑: 

そうだと思います。そんな中で長く店を続けていくには「かっこよくなりすぎず、ダサくもならず」っていうのが大事だと思うんです

岩崎: 

「かっこよくなりすぎず、ダサくもならず」……消費されないってことですか。

山﨑: 

そう。例えば、今はもう閉店したけどefishさんはそうでしたよね。細部に渡ってセンスはいいんだけど、尖りすぎてはいない。流行の上澄だけを抜粋するようなことはせず、店主の美学が一貫してあった。そういうお店はお客さんから信頼されて、長く愛され続けます。

岩崎: 

オーナーが変わらないっていうのは、そういう意味で大きいですよね。精神性を伝え続けられるというか。

山﨑: 

マドラグの場合、なっちゃんのセンスが基礎にあったから、それを軸に変わらずやってこれました。でもそういうのって肌感でしかわからないものなんですよね。だから自分がなるべく現場にいて、スタッフに伝え続けるように気をつけています。特に新店を出すときはすごく気を遣いますね。かっこよくなりすぎてもあかんし、俗っぽくなってもあかん。ちょうどみんなが思う「マドラグらしさ」を表現するのを意識していました。

CORNER MIXにもまさにそうあってほしいなって思うんですよ。時々スパイスとして新しいメニューを投入したり、イベントや展示をやることもあるけど、ベースはみんなが思う「ミックスジュース」を提供し続ける。それって結構難しいんですけど、そうすることで信頼されるお店になると思います。

岩崎: 

本当にその通りだと思います。飲食って今、ものすごくおもしろい時代だと思うんです。複雑さが先鋭化しているのも、新しいことにどんどんチャレンジできる空気があるからなんだと思います。だけど、そんな中でCORNER MIXは「かっこよくなりすぎず、ダサくもならず」を目指して、長く愛される店にしていきたいですね。

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