2024.03.13

消臭・除菌スプレー「NIOCAN」京都の老舗化学メーカーとの新たなブランド価値を生み出す挑戦

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インタビュー / 藤本 淳弥、 文 / 松本 花音、 写真 / 井上 みなみ 他

大切な空間で大切な人と過ごす時間。インテリアにこだわるように、そのニオイもこだわりたいと思ったことはないだろうか。思わず部屋に置きたくなる消臭スプレーとして2023年6月に発売された「NIOCAN(ニオキャン)」は、気になるニオイを消し去り、清潔で居心地の良い空間を演出する天然精油由来、京都発の消臭・除菌スプレー。その開発元は、界面活性剤をはじめとする各種工業用薬剤や、健康食品などのライフサイエンス関連製品の製造・販売など長きに渡りBtoB企業として実績を有する第一工業製薬株式会社(以下DKS)だ。1909年4月創業(1918年8月設立)の京都市南区吉祥院に本社を構える歴史ある化学品メーカーである。

「ニオイをキャンセル」するというコンセプトのNIOCANは発売以来、破竹の勢いで小売店や美容業界に受け入れられ、今もなお取扱店舗数を伸ばし続けている。その消臭メカニズムは「中和消臭」という技術で、従来の既製品で一般的に用いられるニオイを違う香りで覆いかくす「マスキング消臭法」と異なり、ニオイを中和させることで衣類や家具、車の室内に染み付いた汗・タバコ、ゴミ箱やトイレから発生する臭いなどありとあらゆるタイプの悪臭に対応可能というもの。ニオイをキャンセルするために配合された9つの天然精油の香りと合わせることで、相対する悪臭の原因成分を中和し、嗅覚に無臭と感じさせて分かりにくくする効果があり、なおかつマスキングに比べてニオイ戻りがほとんどないという画期的な製品だ。

マガザンはDKSと共に製品開発段階から伴走し、DKSにとってまだ経験の浅かったBtoC領域におけるWEBマーケティングとプロダクト全体のクリエイティブディレクションを担った。NIOCANという商品はどのような経緯で生まれ、そしてマガザンのプロジェクトエディット力はどのようにこのNIOCANのスタートアップに寄与したのだろうか?そのプロセスを探るべく、DKSのNIOCANプロジェクトの責任者である高原英二さんと、技術者であり臭気判定士の木村俊哉さん、マガザンの岩崎、アートディレクターを務めた黒野真吾さんにインタビューを行った。

ー まずはNIOCANという商品の開発経緯と、みなさんはその中でどのような役割を担われたのかをお聞かせいただけますか。

高原: 

第一工業製薬株式会社ライフサイエンス本部の高原英二です。大手化粧品会社で長年勤務し、その後京都のオーガニック商業施設の立ち上げに携わりました。その実績を買われて、DKSに入社したのが2020年。化学メーカーのDKSはBtoBの実績は多分にあるけれど、BtoC領域はまだ駆け出しで、その実績を持っている私に声がかかったというわけです。社内ではBtoCマーケティングの人材が不足しているという課題があったため、僕の人脈や経験を総動員して社外のスキル・人材を巻き込み“オール京都メンバー”の集まりを形作り始めたときに、僕自身も経験が多くないECビジネス、WEBマーケティングの知見を持つ人材として岩崎さんを紹介してもらったんです。

その集まりの中で偶然「ホテルの宿泊者が部屋に残すニオイを消すのが大変」というトピックの話がでたんですよ。うちには化学メーカーとしてあらゆる分野にサイエンスの技術者がいて、もちろんニオイの専門家も在籍している。それで2年前に出会ったのが、グループ傘下のゲンブ株式会社に所属している木村です。彼は臭気判定士という国家資格を持っていて、「ニオイを消す」メカニズムの知識を教えてくれるんだけれど、その原理がとても面白い。それで、2022年にこの消臭プロジェクトを水面下で仕込み始めたんです。

第一工業製薬株式会社 ライフサイエンス本部 高原英二さん

木村: 

DKSのグループ会社である、ゲンブ株式会社に所属する木村俊哉です。DKSに入社して、最初にニオイの専門部隊に配属されまして、製造業の工場が出す排気ガスや、下水処理場の臭気対策に関わっていました。その後その部署がゲンブ株式会社に合併して現在もゲンブにおります。ゲンブが有する臭気対策の技術をBtoCに転用するという狙いのもと、このプロジェクトにも関わるようになりました。

ただ、ゲンブにはそれまでBtoCのノウハウがない中で、ただ消臭や除菌の技術を活用した商品を開発しても広がりがないというか。そこで止まってしまっていたところを、その先の商品のストーリーを高原さんやマガザンチームの皆さんと共に見つけて動かせたおかげで、前に転がっていったというのがあると思います。

ゲンブ株式会社 臭気判定士 木村俊哉さん

高原: 

NIOCANプロジェクトが立ち上がった2022年はまだコロナ禍が終わりきっていない、感染や人との接触にまだ敏感さが残っていた時期でした。そこで、消臭剤を自分の大切なパートナーや家族、ペット達との暮らしを安心して送るためのポジティブなツールとして捉えたらどうだろう?と考えたんです。コロナの影響もあってより自分の生活を大事にしたいという気持ちが世の中のムードにあって、除菌・消臭剤マーケットは市場規模860億円、1家庭に3.7個置いてある(マガザン調べ)というリサーチ結果も見えた。そこで気持ちの良い、美味しい空気を保つことで、暮らしや自分の大事な人たちを大切にするという世界観は、その先のポストコロナの世界でも通じるだろうと。

「ニオイをキャンセルする」というコンセプトは、ノイズキャンセリングイヤフォンから着想したんですよ。木村からニオイの電気信号の話を聞いたとき、違うんだけど同じように思えて。ニオイへの反応というのは動物の本能だから、中和技術のすごさに加えて本能に訴えかける香りが必要だと考えた。そこで木村くんがアロマの検定資格も持っているから、9種の天然精油のブレンドという香りのアイデアを生み出してくれて、それでトイレタリーマーケットにいた消臭剤をコスメティックスの世界に引っ張ってこようと思えた。それがNIOCANのブランド価値に繋がっていったと思いますね。

ニオイを神経細胞が電気信号に変換し、認知する仕組み

木村: 

「中和消臭」というNIOCANを形作る技術は、一般的な消臭剤で用いられるニオイをより強い芳香で覆いかくすマスキング消臭法と異なり、例えば魚のニオイをレモンで消すような生活の中でも用いられている臭気中和の方法です。人間が良い香りと感じる天然由来のものはたくさんの化学物質で構成されていますが、逆にその香り・ニオイを潰すのも、その構成に手を入れて変化させる事で可能になります。そうした消臭効果の性能評価と掛け合わせて、香りをよりカスタマーの嗜好に合わせて調合していくというのはなかなか難しいので、試行錯誤を繰り返して五月雨式に評価していきました。

ニオイを打ち消し中和する、消臭のイメージ

従来のマスキング消臭のイメージ

NIOCANの中和消臭のイメージ

高原: 

自然界のものを使ってうまく中和するという方法論は元々日本人のDNAとしてやってきたことで、お寿司に大葉や松の葉を巻いたりするのもそう。だから、強引に混ぜてニオイをごまかすのではなく、もっと自然なやり方で十分にできる。それが化学としてノウハウ化されているというところにこの商品をやる価値があると僕は思うんです。

そのうえでみんなが知っているものと全然違う消臭剤という新しいマーケットをクリエイションするには、「中和消臭」という特殊技術、天然精油の独自配合による特別な香り、そこに加えてその雰囲気を体現する洗練された「デザイン」が必要だと考えました。そこで、ロゴデザインやパッケージデザインをデザイナーの黒野さんに依頼し、制作してもらいました。

NIOCANのパッケージ

ー 確かにNIOCANはプロダクトとしてのクリエイティブが非常に印象的です。佇まいであったりコピーやビジュアルなど、デザインコンセプトを組み上げるプロセスではマガザンの働きもあったかと思いますが、どのように組み上げていかれたんでしょうか。

岩崎: 

デジタルマーケティングを知るプレイヤーとして高原さんにこのプロジェクトに引き入れていただいて、まず実際に商品を使わせてみてもらったら、めちゃくちゃニオイが消えるんでびっくりしたんですよ。いいニオイで、かつルームフレグランスのように覆い隠すというよりも本当になくなるという感じ。最初にオリエンテーションいただいた時点でニオイキャンセリングというキーワードは出ていたので、DKS社内でBtoCへの成功体験がまだ少ないという状況を踏まえると、まず社内のムードを盛り上げるっていうのが大事だなと思ったんです。それでまず僕たちが着手したのが市場リサーチ。客観的事実を把握するために社外のリサーチパートナーとも協働して、家庭に消臭剤はいくつ置いてあるか、置き型と噴霧型というタイプの分類などを行い、マガザンコミュニティでブラインドのユーザー調査を行いました。商品名を伏せた状態で数種類の高機能型消臭剤を使ってもらい、アンケートを行ったところ、回答者のほぼ全員がNIOCANが最も効いたという回答だったんです。その際に仮でつけていた香りは好みが分かれたので、嗜好性に合わせてニオイを決めることに慎重さが求められることなどを明らかにしていきました。製品のターゲットを明確化して、何が求められているのかという仮説を深めた状態で商品ローンチのスタートを切れたことが今回の成功要因の1つであり、開発チームのモチベーション向上にも貢献できたんじゃないかなと思っています。

そしてプロダクト開発フェーズでは、写真からパッケージデザイン、ウェブデザイン、展示会の装飾などあらゆるデザインを一気通貫して黒野真吾さんが率いるチームにお願いするというクリエイティブディレクションをしました。コスメティックスのような消臭剤というブランドストーリー、価格帯は一般的な消臭剤を大きく上回る2400円(税抜)。それを買う人を顕在化させる必要があったので、国内で通用するニュートラルなプロダクトデザインを映像・写真・展示会構成など一気通貫で手がけることのできるデザイナーとなったら、黒野くんしかいないと思って推薦したら、高原さんが気に入ってくださって。

黒野: 

NIOCANのクリエイティブは「部屋に置きたくなる佇まい」を前提にして構築していきました。ルームフレグランスとか、おしゃれなレストランにはハンドソープは素敵なものが置いてあるんだけど、消臭剤はなぜか生活感が出過ぎているものしかない…ってことありませんか?だから見た目からも生活の細部を整える商品にしたいと思っていました。

パッケージでは製造ラインが担保するしっかりとした背景・品質とその安心感を伝えるために、成分の配合表をモチーフにデザインしました。製品の安心・安全と、使った時のニオイが消える驚きを表現するために、メインビジュアルはゴミ箱にモデルが顔を突っ込んでいる画を作成し、WEBやリーフレットに用いています。僕もニオイが消えるのに感動して毎回ゴミ箱に顔を突っ込んでますよ(笑)。

NIOCAN メインビジュアル

プロダクトデザインとしては、ボトルの形状と色にもこだわりました。業者さんに直接伺って実際に選定して、グレーやブルー、オリーブ系など候補に上がりましたが、最終的にニュートラルなグレーが採用されましたね。いい色だと思います。

NIOCAN ボトルカラー

ー なるほど。一気通貫してデザインに携わることに対しては、どのような想いやモチベーションがありましたか?

黒野: 

たくさんのブランドが生まれている現代においては、ブランドの立ち上げからアウトプットまでを一気通貫でデザインすることがとても重要だと思います。そのブランドが醸し出す空気感や世界観は、部分的なデザインの集合体ではチグハグしたものになってしまいます。イチ消費者としてどんな商品があったら嬉しいかという企画の部分から、写真のテイストやリーフレットの文字詰めまで、一貫した個性をもったブランドを作っていくことが大事です。

また、長くブランドと付き合うことでそのブランド「らしさ」がわかってくる面もあります。長く付き合った友人は「きっとこういう風に考えるだろうな」というのがわかってくる感じ。生まれた時から知っているNIOCANは、真面目なんだけどちょっとしたユーモアを持っているだろうとか、清潔感のある写真が似合うイメージですね。

プロダクトデザイナー/アートディレクター 黒野真吾さん

ー 高原さんは、クリエイティブの部分はどうでしたか。作っていくプロセスや、これはいいなというものにたどりつくストーリーのようなところについて。

高原: 

これはダメだなって思うような瞬間は全然ないまま、一直線に来た感じ。僕の時代はデザイナーってパッケージデザインだけして終わりとか、場面によって色んな人が出てくるっていうやり方だったけど、黒野さんは自分がクリエイティブしたプロダクトの世界観を、最後の最後のお客さんのところまで完成してつくる。そんな人、僕は初めて見たし、今でも少ないと思うなあ。

岩崎: 

少ないですね、特にこのレベルのクリエイティブでは。あと、コピーライターの深澤冠さんに入っていただいたことも良かったですね。

高原: 

「じゃあ、やってやろうじゃないか」って人が集まってきているところが非常にいいものに繋がったし、それがそのままプロダクトやあるいはツール、WEBサイトや展示会も全部、一気通貫でいけたっていうのは社内的にもいい経験になったと思います。それは本当に岩崎さんがいなかったらできなかったって、僕はずっと前から言ってますね。

岩崎: 

ありがとうございます。やっぱり高いレベルを求められているっていうのは最初からわかっていたので、マガザンコミュニティの力を発揮しなきゃいけないっていうプレッシャーがあったのは覚えてますね。生半可なことをやったらあかんっていう。とはいえプロジェクトのスピードは保たないといけなかったので、スケジュール的にもコスト的にもいかに最小限のメンバー構成で高いところに辿り着けるのかを大事にしました。

株式会社マガザン 岩崎達也

ー そうしてできた商品を実際に世の中に届けていくわけですが、その段階ではどんなリアクションがありましたか?

岩崎: 

まず小売店さんへ取り扱いいただけないかって持って行った時の反応が、最初からとても良かったですよね。

高原: 

自社では直営店もなければ売るルートもないから、僕の持つルートと、岩崎さんにも特にお世話になりましたね。keikokairaiさん(京都のライフスタイルショップ)とかね。

岩崎: 

はい。やっぱり感度が高く、NIOCANのプロダクトイメージに合っている方ですよね。あとHotel Kanra Kyotoさんとか、Good Nature Stationさんとか。

高原: 

ホテルはニオイへの対応が難題の1つで、ニオイが残ると次の日に予約を入れられない部屋が出てきてしまい、ダイレクトにダメージになってしまう。だからこれから紅葉や年末年始とかのハイシーズンまでにはなんとかしないとっていうのがあったんですよね。そういうニーズにハマったんだと思います。で、実際にNIOCANを使うとほぼ消えているって絶賛してくださいますね。そこから商品を販売したり、客室清掃員が常に持ち歩いたり、ウェルカムおしぼりに吹きかけたりしているところもありますね。

岩崎: 

精油だからこそできるという。先のkeikokairaiさんはヴィンテージ雑貨と古着を多く扱っていらして、古着のニオイが消えるっていうのが最初の具体的な効果実感だったと。それで備品としても使いたいし、これはうちのお客さんにも売る自信があるって扱ってくださって、取引第一号ですね。そこからあそこが使っているならうちも…ってなっていくような感じで。

高原: 

美容室、ヘアサロンでも扱ってもらってます。デザインもいいし、レジに置いてレコメンドすると、お客さんがおしゃれだから、精油でできているとかそういう感性でも興味を持っていただいて。

僕は美容業界にいたからわかるんだけど、美容室にお客さんが来る回数って年間平均5.5回なんですよ。だからそのタイミング以外にも自宅のケア剤が必要で、サロンでシャンプーとかヘッドスパ商品とかをサロンのお薦め商品として扱ってもらうんです。それと同じで、NIOCANもそういう説明ができれば日常生活をもうちょっとアップデートできるアイテムになる。

岩崎: 

そうですよね。総じて、もともと莫大な予算がいきなりあるわけじゃないから、toBの卸とか小売店の力を借りようと。そこでそういうインサイトに出会えたのが、従来の単なる消耗品ではない、ライフスタイルを自分の納得いくものにしたいっていうところにハマる商品なんだって確信を持てた瞬間でしたね。

あと、個人に届ける場としてのNEW ENERGY。23年の9月に東京で開催されたクリエイティブの祭典にNIOCANで出展しましたね。

NEW ENERGYへの出展

NEW ENERGY NIOCANブース

高原: 

大成功でしたね。商品の詳細な説明よりもブランドの世界観を語るような無機質なデザインのブースだったけど、お客さんはみんな足を止めてくれる。木村くんが作ってくれた魚の腐ったニオイに吹きかけて「臭い!」からニオイを消す実演をやったりもして、4日間で8500名ほどの集客と期待以上の売上がありました。そこから紹介につながって新しい販売ルートも開拓できたりと弾みがついたし、うちの臭気判定士や営業もトークショーに出たり。ファッション感度の高い人たちが集まるあの賑わいで説明したりサンプルあげたり、そこから買っていただいたりっていう、あっこういうことなんだ、っていうのを社内のメンバーが肌で感じることができたのが、すごくスタディとして意味があったと思いますね。

NEW ENERGYでのトーク出演

木村: 

デモンストレーションって自分でハードルを上げるようなものなので内心ヒヤヒヤだったんですが(笑)、本当にみんな消えたって言ってくれて、マイナスの反応がなくてほっとしましたし、自信もつきました。サンプルを渡した方が、その後自分のカバンにかけてみたけど消えたよってわざわざ戻って言いにきてくれたりもして、ありがたかったです。

ニオイのデモンストレーションの様子

岩崎: 

すごい、伝えに来るってよっぽどですね。みなさん普段いいものを作られていても、お客さんに会えないですよね。その反応を見ていただきたくて、あのブース、あの場を用意したところはありますね。

高原: 

Instagramフォローキャンペーンでアンケートを取るというSNS施策もやりましたね。お客さんからのコメントに悪いコメントがほぼなくて、営業からしても売りやすい、わかりやすい商品だと気づけて良かったというのもあります。こういう効果のおかげで、鍼灸店舗への卸や結婚式の引き出物など新たなマーケットでの取り扱いも進んでいますし、大手ファッションメディアにもホームケア情報として掲載されたりと注目されているのを感じています。

岩崎: 

マーケティング調査では、NIOCANの価格帯の同一商材って存在しないので、表だけ見たら「高い!」ってなるんです。じゃあ何を信じるかっていうと、そういうお客さまの声や、感度をわかってくれる人たちの声を信じること、それがかなり大事なポイントですよね。

ー NIOCANの製品の素晴らしさと、マーケティングに基づいたターゲットの見極めがうまく結びついたまさに効果的な事例ですね。改めてこのプロジェクトは、100年以上の歴史があるDKSさんと、創業7年目のマガザン、それぞれにとってどのような意味のあるものでしたか?

木村: 

入社して16~7年、ずっとBtoBの企業だったので、こういうものはやらないと自分の中でも思ってしまっていたところを、売り方もわからない中でチャレンジして。うちの元々のメンバーだけでは多分できなかったことを、高原さんや連れてきてくださった皆さんにいろいろ教えていただきながらやれたという感覚です。

高原: 

元々社内にあるノウハウ、技術、持っているリソースも、固定概念のせいで面白さに気づけなかったりするんですよね。だけど成熟した技術があれば、実は世の中をびっくりさせることができる、そこに、商売の基本とかブランドの見立てのやり方があって。そういうものをコンパクトに、京都の仲間でやれる人がいたっていうところでマガザンさんと出会えたのは最高でした。岩崎さんたちがいなかったら今の組み立てもできていないし、黒野さんも出会えてないから、せっかくの木村くんたちのノウハウも全くブランド化できていなかった可能性が高いです。やっぱり気持ちが通じている人とやるっていうのが間違いないっていうことだと思いますし、その辺のクリエイティブのアサインを岩崎さん、マガザンがやってくれたんで。

岩崎: 

いやあ、ありがとうございます。僕らからすると、楽しんだり興味を持ちながらプロジェクトにあたることができ、なおかつマガザンのコミュニティがパワーアップする機会をいただけてすごくありがたかったです。化学、ケミカルに対する理解も深まりました。なんでニオイは消えるのかとか、なぜ身体に良いあるいは良くないのかとか、その解像度がコミュニティの中で1つ上がりましたね。そういうことを京都の実力派メーカーさんとご一緒できたのがすごく有意義でした。

ー それでは最後に、この後のNIOCANの展開はどうなっていきますか?

高原: 

その後の展開としては、2023年10月に詰め替え用の紙パック、2024年1月には携帯サイズも販売開始しました。元々弊社は天然精油の配合技術などサステナブルなメッセージを伝えていた企業ですし、これからも時流を捉えた製品開発を続けていきたいですね。

NIOCAN 800ml紙パック(詰替え用)

NIOCAN 10ml携帯サイズ

ー 元来あった高度で高品質な技術に支えられた素晴らしい商品を、現代のマーケティングの観点から捉え直し、プロダクトメッセージとしてデザインし、伝えていくこと。このプロジェクトを通じて、改めてその重要性と可能性を感じることができました。みなさんありがとうございました!

NIOCAN

ブランドWEBサイト https://niocan.jp/

公式Instagram https://www.instagram.com/niocan_dks/

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