事業開発・クリエイティブディレクション

事業開発・クリエイティブディレクション

国内有数の伝統文化の担い手と協働し、東銀座から未来のオーセンティックを打ち上げる実験場「SHUTL」の立ち上げ

プロジェクト概要

Outline

「未来のオーセンティック」を生み出す実験場(ラボ)の立ち上げ

建築家・黒川紀章が設計した新陳代謝をコンセプトとしたカプセル2基とそれらを格納する新たな空間を舞台に、現代の表現者が日本文化と出会い直し、自らの表現と伝統を結びつけることで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場(ラボ)として2023年10月に東京・東銀座にオープンした新たなアート&カルチャースペース「SHUTL(シャトル)」。貴重なカプセルの中に入れるという話題性と、日本文化の伝統を意識しながらアート&カルチャーシーンの現在形に応答するという意欲的な企画ラインナップで、熱い注目を集めています。

マガザンはこのSHUTLのスペース立ち上げとコンセプトメイキング、スペース運営やレンタル促進、自主企画の企画立案に至るまで、この施設の主体者である松竹株式会社様(以下松竹)の協働事業者として事業に参画しています。マガザンの持つユースカルチャー感覚を、伝統を扱う老舗企業である松竹の新規事業・新規スペースにインストールし、さまざまな企画や手法を用いてコンセプトを体現するお手伝いをしています。

SHUTL外観 撮影:archipicture 遠山 功太

SHUTLオープニング展示シリーズ第1期「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」撮影:山根かおり

SHUTLオープニング展示シリーズ第1期「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」撮影:山根かおり

SHUTLオープニング展示シリーズ第1期「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」撮影:山根かおり

SHUTLオープニング展示シリーズ第2期「様式の変容」撮影:山根かおり

SHUTLオープニング展示シリーズ第3期「見立て」撮影:山根かおり

SHUTLオープニング展示シリーズ第3期「見立て」撮影:山根かおり

プロジェクトの背景

Background

新しい日本文化を発信するということ

松竹本社のある東劇ビルの将来的な建替えを見越して、一体開発できるようにと同ビルの隣接した角地を同社が取得したのがSHUTLプロジェクトのきっかけです。駐車場などの安定的な収入を得るということではなく、建替えまでの短期的な利用を前提として実験的なプロジェクトをやりたいということに加え、将来的な開発にも繋がるものにしたいという狙いがありました。

松竹グループがミッション「日本の伝統文化を継承、発展させ、世界文化に貢献する」を掲げるなかで、同社の保有物件が集中する東銀座エリアは最大の拠点です。世界唯一の歌舞伎専用劇場である歌舞伎座、新ばし芸者の発表の場である東をどりを起源とする新橋演舞場という伝統文化の発信拠点に加えて、将来的な日本文化の発信拠点になりうるのが東劇ビルと、その向かいにある銀座松竹スクエア。担当部署である不動産本部は、今までとコンセプトの異なる新しい日本文化の発信ができるようなスペースにしたいと考え、2020年に社内で活用プロジェクトを立ち上げました。

東劇ビル

どうすれば新しい日本文化を発信するというテーマを体現できるか、松竹あるいは東銀座らしさをどう打ち出せばいいのかプロジェクトメンバーの皆さんは悩まれていました。その時タイミングを同じくして、2022年、同じ銀座エリアの文化遺産とも言える中銀カプセルタワービル解体のニュースがあったのです。東劇ビルは1975年の竣工で、中銀カプセルタワービルが1972年の竣工なので3年差と建てられた年代が近いこともあり、本プロジェクトの担当者の方はこのニュースに運命的なストーリーを感じたそう。
そこから中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト様へコンタクトを取り、同じ銀座・築地エリアということもあって同プロジェクト様から松竹様へカプセルを移譲することが決定しました。

画像提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト

※SHUTLのオープンまでの経緯、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトのこと、黒川紀章の建築思想とメタボリズムについてなどの詳細は、SHUTL WEBサイトのJOURNALにて詳しく紹介しています。

カプセルという強力なモチーフを得て進み出したプロジェクト。創業120年を超え、歌舞伎の興行や映画の製作・配給を続ける企業である松竹の新しい挑戦にあたって、松竹創業の地である京都の現在や若い人たちのリアルを知っており、かつ東京にも縁があるマガザンをチームに率いてくださいました。最初の相談段階から、徐々に全体のプロジェクトプランニングの部分にもコミットさせていただくようになり、「カプセル」という要素が加わってからはそれをプロジェクトのミッションに融合、昇華させていくまでをともに形にしていきました。

プロジェクトのチーム

Team

幅広い領域をマガザンコミュニティ総力戦でカバー

  • マガザンプロジェクト責任者:岩崎達也(株式会社マガザン)
  • クリエイティブプランニング、サウンドデザイン:武田真彦(株式会社マガザン)
  • 広報、プロジェクトマネジメント、アートプロデュース:松本花音(株式会社マガザン)
  • スペースマネージャー、キュレーション:黒田純平(keshik.jp)
  • デザイナー:井上みなみ、古山愛子(以上株式会社マガザン)
  • WEBサイト:Shhh inc.
  • ロゴデザイン:三重野龍
  • フォトグラファー、ムービー:山根かおり
  • イラストレーター:岸本敬子
  • 翻訳/声(ナレーション) :ジュリエット・礼子・ナップ

ほか現代美術アーティストなど多数

プロジェクトのビジョンビジュアル

Vision visual

未来のオーセンティック Launching Authentic Futures

SHUTLのスペースのコンセプトには、「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する。時代のニーズをとらえ、あらゆる世代に豊かで多様なコンテンツをお届けする。」という松竹株式会社のミッションを込め、伝統と現代の新たな接続方法を生み出す実験場(ラボ)として、「未来のオーセンティック」を生み出すことを掲げました。
キャッチコピーは「Launching Authentic Futures」と英語で表現。Futureを複数形にすることで、未来のさまざまな表現者が「本物=オーセンティック」を生み出し打ち上げるという意味を持たせました。

SHUTLイメージマップ

建築は2基のカプセルを含むSHUTLの空間で行われる実験や営みを、シンプルに収納しています。装飾を抑え、外部との境界をできるだけ取り払うことで、SHUTLで起こる多様な変化を繊細に感じ取ることのできる環境を提供しています。

それぞれのカプセルと取り巻く空間にネーミングとコンセプトを装着することで、「未来のオーセンティック」を生み出す実験場として、利用者に自由とインスピレーションを与えられるように設定。

カプセルには、中銀カプセルタワービルで実際に使われていた部屋番号とともに、竣工当時の姿を修復したカプセルには「オリジナル」と、解体したカプセルの姿をそのまま残したカプセルには「スケルトン」と名前をつけました。

また、2つのカプセルの間の空間には、時間・空間を超えて自由な表現をしてもらいたいという想いから「FREEDOM SPACE」と、SHUTLの内と外がつながる空間には無限の可能性を打ち上げてもらいたいという想いから「OUTER SPACE(宇宙)」と名付けました。

イメージマップには、それらの空間を活用する風景を想起してもらうよう、人・作品・イベントの様子を一つのイラスト内に表現しました。

CAPSULE A - A906 (ORIGINAL) 撮影:archipicture 遠山 功太

CAPSULE B - A1006 (SKELETON) 撮影:archipicture 遠山 功太

FREEDOM SPACE 撮影:archipicture 遠山 功太

OUTER SPACE 撮影:archipicture 遠山 功太

プロジェクトのディティール

Details

「未来」と「伝統(過去や歴史)」を「繋いでいく」シャトル便

特徴的な、「SHUTL(シャトル)」というネーミングとモチーフ。カプセルの姿かたち、そして中銀カプセルタワービルの建築家・黒川紀章の「カプセル宣言」からインスピレーションを得て、「スペースシャトル」「往復便」「機織りの杼(ひ)」という3つのモチーフを採用しています。

3つのモチーフは「未来」と「伝統(過去や歴史)」を「繋いでいく」という文脈を表現しています。

「スペースシャトル」は未来的なイメージ。

「織物の杼」は伝統(過去や歴史)。

それらを繋ぐ「往復便」。

 

この3つは実はそれぞれ独立したものではなく、未来と過去を繋ぐシャトル便としてSHUTLというスペースが動いていく、という想いも名前に込められています。

プロジェクトの成果

Results

新規スペースの立ち上げから運営まで、あらゆる業務一式をマガザンコミュニティで推進・実装

SHUTLのオープンが2023年10月に決まり、施設を立ち上げるまでに、多くの社外パートナーの皆さんの力を借りながらさまざまなミッションを遂行しました。
事業開発やブランドクリエイティブのプランニングのみならず、スペース運営やレンタルのスキーム設計と営業・収支計画のシュミレーション、WEBサイトの制作構築とコンテンツ企画・編集、SNS運用、PV映像制作、オリジナルグッズのディレクションや制作・販売体制のマネジメントなど、アートスペースのオープンから運営にあたっての業務一式をマガザンコミュニティで推進・実装しました。

WEBサイトデザイン Shhh.inc実績紹介ページ

 

SHUTLコンセプトムービー(撮影・編集:山根かおり)

SHUTLオリジナル Long T-Shirts

 

SHUTL Incense

またこのSHUTLプロジェクトは、中銀カプセルタワービルという歴史的名建築の継承と、松竹という歴史ある企業の新事業という大きなニュースバリューを持っています。そのため情報解禁からオープン、そして事業展開までをどのように世の中に届け、期待と認知を醸成するかにおいては戦略的な計画と着実な実行が必要でした。マガザンではその点において重要度の高いプレスリリース作成・配信やメディアリレーション、媒体出稿計画などの広報・PR業務においても立ち上げ期からコミットし、媒体の特性やターゲティングを踏まえながら、これまでの松竹自社のステークホルダーとは異なる新領域への継続的なリレーションシップの構築を担いました。
SHUTL掲載記事の紹介記事はこちら(SHUTL WEBサイト JOURNAL内)

SHUTLオープニングにおいては施設の内覧会やレセプションイベントの企画制作もマガザンが主体的に行い、SHUTLのスペースいっぱいのお客様をお迎えし華やかなオープニングを演出することができました。

またスペースのコンセプトを体現する自主企画のキュレーションやプロデュースも重要な業務のひとつです。アーティストやクリエイターの世界観をひとつひとつ丁寧に読み解きながら、SHUTLの文脈に合った「未来のオーセンティック」を体現する表現を積極的に紹介する企画を手がけています。

SHUTLオープニング展示シリーズ「伝統のメタボリズム」(2023年10月〜24年3月開催)

第1期 「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」

第2期「伝統のメタボリズム〜様式の変容〜」

第3期 「伝統のメタボリズム〜見立て〜」

マガザンが松竹のパートナーとして事業のコアバリューの確立から積極的に関与し、その世界観の実現を京都発のコミュニティとともに実現していく。SHUTLプロジェクトでは、まさにマガザンならではの、ユースカルチャーをはじめとした豊かな文化の力を京都から他の都市へインストールし、波及させることができはじめていると考えています。

SHUTL WEBサイト
https://shutl.shochiku.co.jp/

撮影:山根かおり

SHUTLオープニングパーティ 撮影:山根かおり

SHUTLオープニングパーティ 撮影:山根かおり

SHUTLオープニングパーティ 撮影:山根かおり

SHUTLオープニングパーティ 撮影:山根かおり

撮影:山根かおり